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ユーザーは侮れない ウェブサイトへの要求度
ユーザビリティテストやお客様への問い合わせ対応に関するコンサルティングを通して最近気付いたことがあります。ユーザーは我々が思った以上に、ウェブデザインやアクセシビリティ、掲載コンテンツに関して知識があるということです。

さまざまなお客様の現状サイトに関して、ユーザビリティテストを行いますと、本当に手厳しい指摘をいただきます。ユーザーの学習能力(日々の経験の中で無意識のうちに使いやすいサイトとそうでないものを見分ける能力)は、素晴らしいと感心するとともに、専門家としてさらに研究し、よいものを生み出していかなければならないと新たに気を引き締めるほどです。こういうサイトにはこういう情報があるべきだと具体的なコンテンツについて言及するユーザーもいます。

リニューアルの打ち合わせの中で多くの場合、担当の方より「うちのお客さんはそんなことは気にしていない」とか「そんな細かい内容まで載せなくても、問い合わせがあったときに答えればいいから」と自ら来訪してきてくださったお客様に対して「決め付け」をして、そこから始まるコミュニケーションを絶ってしまおうとするケースがあります。その場合、予算がなくてページやコンテンツが増やせないという理由もありますが、担当者が顧客対応に関して、深く掘り下げずに準備を簡素化したいばかりに、接客の本質を見失っていることがあります。

これをリアルの接客現場に例えてみましょう。
「こんにちは!こんな商品はありませんか?」とわざわざドアを開けてお店の中へ入ってきてくださったお客様に、「そんなことは気にしないでください」という態度がとれますか?「詳しいことは聞かれたら答えてやるよ!」という態度がとれますか?たとえ小さな店舗でもお客様の見易い位置に商品を並べ、値札をつけ、関連性のある商品は横に並べ、相手が理解できるようにとにこやかに説明を行うのではありませんか?
具体的な商品でないサービスの場合も同様です。パンフレットなどを使ってわかりやすく接客しますね。

繁盛しているお店には理由があります。これは店舗を運営したことのないお客様でも知っています。入り易い入口。きれいに清潔に整った店内。手に取り易い商品棚。尋ねてみたくなる店員。笑顔で礼儀正しい接客・・・・・。

では、なぜウェブサイトで同じことができないのでしょうか?ここまで、読んでこのことは「通信販売のサイト」の話だと思った方、それは間違いです。すべてのサイトに共通することです。大学サイト、病院サイト、会社サイト、リクルートサイト、どんなサイトであれ、来訪者は自らのところへ、わざわざ訪ねてきてくださった大事なお客様です。目の前にいるお客様が明らかに不満足だった場合、どうしますか?

ユーザーは、多くのサイトを回遊し、比較を無意識に行っています。ユーザーにとって、今日「魅力的なこと」は明日にはすでに「あたりまえのこと」になります。リニューアル準備時には、リアルな場面だったらどんな対応をするか?どんなものを用意するか?リアルな接客現場を想像することが重要になります。

先回も書きましたが、来訪者は期待通りでなければ、瞬間的に「期待に対する裏切り」を感じ、そのサイトに対する信頼感を一気に失います。
この期待はずれが連続すると、失望は怒りに変化し、そのサイトの運営者に対しても同様の感情をもちます。この時点で、そのサイトは不成功となるわけです。

多くのサイトが、日々相応のコストを使い、工夫を重ねながら更新している昨今、ますます競争は激化しています。良いコンテンツ、よいレイアウトデザインは、まさによい接客そのものなのです。

サイトは公開したら終わりではありません。日々、改良し、お客様の満足度を上げていかなければ、求人の応募も増えませんし、新規顧客も見つかりません。

担当者一人の思いや社長の希望だけでは、成功するサイトは作れません。顧客視点を持ちながらサイトを作るということは、端的にいえば「リアルな場面だったらどんな対応をするか?」という想像力そのものです。問い合わせフォームも、お客様が聞きたい問い合わせたい肝心なことより、個人情報を事細かに入力させると離脱率が高まります。

これも、リアルに置き換えれば理解できるはずです。初対面の人に、「電話番号は?」「住所は?」「生年月日は?」と根掘り葉掘り尋ねるでしょうか?冷静に考えればわかることですね?

一度、そんな視点で自社のサイトを眺めてみましょう。ユーザーは怒って帰っているかもしれませんよ。
(このアーティスサイトも紺屋の白袴でして、人のことは言えません・・・・)


2008年8月20日 生田明子  
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